炭素繊維の歴史と作り方

エジソン!?CFRPもエジソンなの??

炭素繊維の歴史

炭素繊維の始まりは19世紀に発明王エジソンが白熱電球のフィラメントに木綿や竹の繊維を炭化したことが始まりといわれています。炭素繊維はエジソンですが、CFRPを発明したのは別の方ですね。炭素繊維がCFRPとして使用されるようになったは1970年代といわれています。

エジソンは炭素繊維!!

生産が始まったのは1959年にレーヨンの炭素繊維をアメリカの会社からです。その後1962年に日本の大阪工業試験場がPAN系の炭素繊維を発明、その翌年群馬大学がピッチ系の炭素繊維を発明しています。
現在市場にでている炭素繊維はほぼ日本人の発明した炭素繊維なのです。

炭素繊維の作り方

パンとピッチってなにが違うの??

PAN系炭素繊維

PAN系炭素繊維は、アクリロニトリル(AN)を重合してポリアクリトニトリル(PAN)繊維を炭化して作られています。工程としては、重合して製糸する工程と、繊維かを焼成して炭化させる工程に分かれます。

ちなみにセーターなどに使われるアクリルとは組成は同じですが少しだけ違います。重合してからしっかり延伸をかけフワフワよりサラサラに仕上げるイメージでしょうか。
化学系のお勉強をされた方なら、うっすらでも覚えていてほしいのですが、この従重合は2重結合を開きながら付加していく「付加重合」です。

次に焼成の工程についてご説明します。
最初は酸素のある状態で200~300度で加熱酸化処理をし、「耐炎化繊維」にし、さらに、酸素のない(つまり酸化しない)窒素雰囲気下で1000~2000度、2000~3000度と段階的に加熱し水素と窒素を飛ばして黒鉛となります。(正しくはガス化脱離ですね)黒鉛の結晶の大きさは焼成温度が上がるほど大きくなります。

 

通常は、このあと複合材料として樹脂となじみやすくするための表面処理をへて炭素繊維となります。

この結晶構造からもわかるように、PAN系の炭素繊維の特徴は電気をよく通すことです。なぜ黒鉛結晶構造が規則的であるほど電気を通しやすいかというと、電位の移動がしやすいからなのですが、これは、「バケツリレーする人々が規則的にならんでいるほど効率がよい」のと同じ原理です。(たぶん)

生産量はPAN系のほうが全体の90%です

ピッチ系炭素繊維

原料がピッチである炭素繊維をピッチ系炭素繊維といいます。
ピッチとは石油、石炭、コールタールなどの粘り気のある副生成物で等方性タイプと異方性タイプがあります。このピッチを溶かして細い孔から紡糸し、PAN系と同様焼成して作られます。

等方性の黒鉛結晶構造が未発達なのに対し、異方性は結晶構造が発達しています。そのためより黒鉛に近い状態となり電導性がよくなります。

現在生産量の10%程度とされています。

 

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