航空機の部品にCFRPを採用すると軽量化できて、燃費がよくなったり、より多くの人や物を載せたりすることができるというのは、「民間機へのCFRPの適用」「軍用機へのCFRPの適用」で少し話をしました。
軽量化をするには、これまで金属で作っていた部分をCFRPに置き換えるだけでなく、部品同士の接合を減らしたり、接合方法を変えたりすることも重要になってきます。
材料を金属より軽いCFRPに変えても、金属部品と同じような接合方法だと、使用するボルトやねじなどの金属部品の重さが余分にかかってしまいます。
こういったところもできることなら減らしたいですよね!
どうやった減らせるのかなぁ?
接合部分を一体成形や接着や溶着のようなことができるとさらに軽量化できます。
この中の一体成形を航空機の機体に取り入れた一つの例として、航空自衛隊のF-2戦闘機がありますが(開発段階ではXF-2と呼んでいました)、炭素繊維強化複合材による一体構造の主翼を世界で初めて採用しているのです。
炭素繊維強化複合材による一体成形を航空機の主翼に本格的に用いたのは、当時、日本にしかできないすごい技術だったのです。
ちなみに、F-2戦闘機の機体構造の構成材料比率は下図のようになっています。
JAXAでは、軽量化について研究がされていて、ボルトなどを用いた組み立て構造ではない接着による接合方法の研究や熱可塑樹脂を機体構造へ適用する研究も進められており、その特徴を生かして、接着剤を使用せずにCFRP同士を超音波で融着させる研究についても実施しているそうです。
出典:XF-2の一体成形複合材主翼構造の開発 日本複合材料学会誌 第28巻 第2号(2002)